Voicyが、Web3に参入できない理由

今日のリベラルアーツ大学
結局いくらもらえる?「遺族年金」について分かりやすく解説
https://www.youtube.com/watch?v=1HEHs8soku4

ー---------------------------------------

このページは、Voicy「大河内薫マネリテ戦略室ラジオ」2022/8/26分を、文字起こし・編集したものです。

Voicyが、Web3に参入できない理由 | 大河内 薫「大河内薫"お金の学び"ラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム
音声放送チャンネル「大河内 薫」の「Voicyが、Web3に参入できない理由(2022年8月26日放送)」。Voicy - 音声プラットフォーム

今日は、「Voicyが、Web3に移行できない理由」ですね。
遠回りして話しますけど、昨日「『仮想通貨税制の改正案に、法人が持っている仮想通貨を期末に時価評価しなくても良い』が入りそう」というニュースがありました。
これで、界隈が湧いていたんです。

どういうことかと言うと、法人(会社・企業)が仮想通貨を持っていると、売っていなくても売ったものとみなされて期末に課税されるんですね。
逆に損失も然りで、売っていなくても計上しなきゃいけない。
1イーサリアム=1650ドルで買って、期末に1800ドルになっていたら、売っていなくても差額の150ドルに課税されるわけですよ。
これが、法人の基本原則なんですね。
「これをやめます」というのが、今年の税制改正に載りそうである。
これは、とっても良いことですよね。

だって、持ちづらいじゃないですか。
ボラティリティがメチャクチャ激しい資産を持っていて、期末にドカンと上がり課税されてすぐに下がっちゃったら、税金を払えないですから。
テクノロジーが素晴らしいと言えども、法人でこんなリスクがあるものは持ちづらかったわけですね。
個人は売るまで課税されないので、全然良いんですけど……
売らなくても課税されるのがポイントだったわけです。
ということは今後、法人は仮想通貨を持ちやすくなるわけですね。
Voicyは、仮想通貨を持ちやすくなったわけです。
Web3に参入しやすくなったわけですね。
しかし、Voicyは参入できません。

その理由を説明する前に、さらに遠回りして「税理士」と「会計士」の違いを説明します。
「税理士」は個人や会社が確定申告する時に、税金の計算・申告の手伝いをする人達ですね。
確定申告代行もするし、確定申告の中身を知っているので、税金・経営のコンサルティングもする。
それが「税理士」ですね。
そして「会計士」の仕事が全然表に出てこないものですから、世間では「税理士」=「会計士」と勘違いされているんですけど、「会計士」は全く違うんですよね。
何をやっているのかと言うと、上場企業の監査です。
これが「会計士」の仕事です。

上場企業は株主に、決算書を事細かに開示する義務があるんですね。
開示するためにどうするかと言うと、「会計士」が監査してチェックする。
そして開示された数字を基に、「税理士」が税金を計算し始めるんですね。
決算終わり

「会計士」が監査

株主に数字を報告

「税理士」
なので、「会計士」と「税理士」は全然違うんですよ。
「会計士」はどこを向いているかと言ったら、株主の方を向いている。
とにかく、監査のことだけを考えている。
数字を作ることですね。
一番重要な視点は、粉飾決算がないか。
つまり「株主を欺くために、売上・利益を不当に上乗せしていないかどうか」が重要な視点になってくるわけです。
一方で「税理士」は、株主と関係がない。
監査とも関係がない。
何が関係してくるかと言うと、税金計算を適正にしたい。
あわよくば、法律の範囲内で税金を安くできないか。
粉飾決算して利益上乗せなんてされたら税金が高くなっちゃいますから、真逆を向いているんですね。
法律の範囲内で、利益を圧縮したい。
それが「税理士」なんですよ。
会社のためにね。
法律の範囲内なら、不当な税金を払う必要がないですから。
だから「会計士」と「税理士」は、見ている方向が真逆なんですよね。

でも、世間は「会計士」と「税理士」を一緒くたにする。
なぜかと言うと、「会計士」試験に受かると「税理士」資格ももらえるという時代があったんですよね。
だから、「会計士」・「税理士」と名乗る人が結構多いじゃないですか。
そして、「会計士」事務所と言っている人も多いじゃないですか。
でもだいたい、「税理士」業務をやっているんですね。
なぜなら上場企業の監査が「会計士」の役目だから、個人事務所にそんな仕事が下りてこないんですね。
なので、「会計士」・「税理士」とか、「会計士」一人で事務所をやっている場合は、「税理士」業務をやっていると思うと良いと思います。

なぜ、「会計士」の監査の話をしたのかと言うと……
上場企業は、絶対「会計士」の監査を受けなきゃいけない。
そして上場準備企業も、「会計士」の監査を受けるんですよ。
なぜなら上場していく準備の中で、「粉飾決算をしていない」を見ていかなきゃいけないから。
Voicyは、この前27億円を調達していますよね。

音声プラットフォーム「Voicy」、27.3億円を調達。声で、明るい未来へ変えていく。 | 株式会社Voicy
国内外の投資家が、新たにラウンドに参画 音声プラットフォーム「Voicy」を運営する株式会社Voicyは、第三者割当増資による総額27.3億円の資金調達を実施しました。既存投資家に加え、新規で海外投資家や国内投資家、ユーザーであるVoicyのパーソナリティなど個人投資家を引受先としています。今回の調達により、累計調達額...

世間から「Voicyは、上場を狙っている」という目で見られても当然のことをしている。
すると、「会計士」の監査が入ってくるわけですね。
その時、日本の会計基準での監査だと、仮想通貨を持っている企業を監査できないんです。
逆を言うと、上場企業は仮想通貨を持てないんですよ。
持った瞬間に監査できなくて、上場廃止ですからね。
上場を目指す企業も、仮想通貨を持っている以上は監査を受けられなくて上場できないんですよね。
これが理由で、VoicyはWeb3に参入できないんですよね。
参入したいかしたくないかは、知りませんよ?
でも物理的に、現状ムリなんです。

じゃあ、日本はどうすれば良いか?
この税制改正は、非常に良いことなわけですよ。
仮想通貨が、法人で持ちやすくなるわけですからね。
しかし持ちやすくなっても、それだけじゃダメ。
会計基準が変わって監査が受けられるようにしないと、金を一番持っている会社(上場企業)が仮想通貨・暗号資産を買えない。
もっと言ったら、NFTも買えないんですよ。
発行すら、できないんです。
なぜならNFTは基本的にイーサリアム上で動くものが一番メジャーで、それを扱う時に必ずイーサリアムを処理しなきゃいけないからですね。
ここは、重要な視点です。
なので上場準備企業と上場企業は、現状日本で仮想通貨・暗号資産・NFTを扱うことができないんですね。
ここを突破しないといけないので、今回の税制改正「時価評価しなくても良い」だけではなく、会計監査の基準も変えていかなくちゃいけないかな~と。
まだまだ法律が追いついていないのは明白ですから、その辺りを踏まえた上でメディアがニュースを発信していってくれたら良いかな~と思います。
「税制改正ができて、Web3は明るい」みたいな空気も、一瞬感じました。

さすがに「大手を振って……」という感じではなかったですけど、勘違いしている人も多いかな~と思ったので、お話させて頂きました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました