インボイス制度の話をする前に、絶対に知っておくべきこと。

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このページは、Voicy「大河内薫マネリテ戦略室ラジオ」2022/7/12分を、文字起こし・編集したものです。

インボイス制度の話をする前に、絶対に知っておくべきこと。 | 大河内 薫「大河内薫"お金の学び"ラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム
音声放送チャンネル「大河内 薫」の「インボイス制度の話をする前に、絶対に知っておくべきこと。(2022年7月12日放送)」。Voicy - 音声プラットフォーム

インボイス制度の議論が空転しているよな~って思うんです。
インボイス制度は、それを語る人・議論する人・質問する人ですら前提知識が必要なんです。
しかも結構、イカツイ前提知識が要るんです。
なのでインボイス制度を話す前に、知っておきたいことがいっぱいあるんですよね。
だから今日は、インボイス制度を話す前に「これ、知っておいてね」という話です。
そもそも消費税を納める事業主・会社に番号を付すのが、インボイス制度なんですよ。
だからこのインボイス制度自体は全く問題ないもので、”このインボイス制度は悪だ!”みたいに語っている人は、基本的には全部ズレている感じですね。
インボイス制度がチグハグになってしまうのは、日本の消費税制度が悪い。
これを一つ、覚えておきましょう。
だから消費税の話を、たくさんしていくことになります。
おそらく知識欲が高く聡明で優秀なVoicyリスナーさんでも、インボイス制度を語れる人は多くないんですよ。
インボイス制度は消費税を納める事業者(個人・会社)に番号を付す、この意味がわからない方もたくさんいるんじゃないかな~と思うんです。

そもそも消費者は皆、消費税を納めているんですよね。
僕らがコンビニで何かを買った時に、消費税を納めるじゃないですか。
水を1本100円で買ったら、110円払う。
これが原則なんですよね。
でもその10円は「納める」わけだから、本当だったら税務署や国に行かないといけないですよね?
どういうことが起こっているかって言うと、その10円はコンビニが税務署に納めてくれるわけですよ。
でも、住民税もそうですよね?
個人で納めている人は住民税の納付書が来て、銀行の窓口やコンビニに行って納めますよね。
でもそのお金は銀行のものでもコンビニのものでもなく、最終的には税務署に渡っているんです。
だから消費税も、僕達はいろんな所に渡しているけれども最終的には税務署に行く。
じゃあどの経路で行くかって言うと、消費税を預かるのは店舗・会社だから。
商品やサービスを提供している人達は売上と一緒に消費税を預かってしまうから、それを税務署に納めている。
だから消費税を売上と一緒に預かって、それを税務署に納める事業主・会社に番号を付して管理する。
これがインボイス制度なんですね。

何の問題もなさそうじゃないですか。
管理が面倒臭くなるというのはありますけど、諸外国も既にインボイス制度を導入している所がたくさんありますから。
そういう意味では、全然問題ないんですよ。
じゃあ何が問題を生んでいるかって言うと、インボイス制度と掛け合わせる日本の消費税制度ですね。
消費税は導入の時から今日に至るまで一つだけ、とんでもない欠陥を作り出しているんですよ。
これは、消費税導入の歴史を簡単に話すとよくわかる。
当たり前ですが、消費税は0%だった時代があるわけですね。
そして、導入当時は3%だったわけです。
これは”消費税、導入しま~す”と言って簡単に始まったわけじゃなくて、消費税という名前を選挙戦で出すと大敗するという歴史を、日本の政治家は繰り返してきたわけですね。
選挙戦で消費税はタブー。
そんな時代があったんです。
消費税の「消」の字を出すものなら、もう大敗。
「じゃあ消費税をどうやって導入すれば良いんだ?」ってなって、挙句の果てに忖度をしたわけですね。
じゃあどこに忖度したかって言うと、中小企業者です。
”中小企業者の方々、売上3000万円まででしたら消費税は納めなくて良いですよ”と。
”消費税は導入しますが大企業が預かって納めるという制度ですから、安心してください。消費税を導入すれば今皆さまが売っている商品、例えば1000円の商品は1030円で売れますよね。その時預かる30円も、皆さんの売上にしてください。だから消費税を導入すると、売上が3000万円以下の中小企業者・事業主は儲かります。だから消費税を導入させてください”と言って、消費税が導入されたんです。
これが消費税を預かっている事業者の内に一部、消費税を預かりっぱなしで納めなくて良いですよという事業者が誕生した瞬間ですね。
当時は、売上3000万円というのが基準だったんです。
それが回り回っていろんな制度を付け加え、現在に残ってるのが1000万円という基準ですね。
これは聞いたことある人が多いかもしれない。
売上が1000万円にいっていなければ、消費税を預かっても納めなくて良い。
これが今の法律なんですね。
そしてもう一つ詳細を付け加えておくと、個人事業主なら「売上1000万円を超えた翌々年から、売上と一緒に預かった消費税を納めてくださいね」となっているし、会社だったら「1000万円を超えた翌々期から、消費税を納めてくださいね」となっているんですよ。

事業主とか会社は、常日頃から消費税を預かっている。
「消費税を納める、でも一部納めなくて良い人がいる」×「インボイス制度」、ここがとんでもない欠陥を生んでいる。
だから、インボイス制度は悪くないんです。
インボイス制度は世界中が導入している制度なんだけど、忖度をして消費税を導入したばっかりに、30年近く経っているけれど未だに免税部分が取り払われていない。
そのままインボイス制度を導入することが、問題なんですよね。
日本の「消費税免税」×「インボイス制度」が欠陥を生んでいるという前提知識がないのに、インボイス制度を語ろうとするから議論が空転するんですよね。
「インボイス制度」×「日本の消費税制度」に欠陥があるから厳しい。
この免税という部分が、一部の人を苦しめているんですね。

日本の欠陥は、「消費税制度の下、売上を上げて消費税を一緒にもらって預かっているにも関わらず、それを納めなくても良いですよ」となっている免税の部分ですよ。
これに該当している事業者・会社は、インボイス制度が始まる2023年10月までにいろいろと考えなければいけないんですね。
そして場合によっては、何か対応しなくてはいけない。
人それぞれ、状況は違うんです。
インボイス制度が始まったら、免税の方々全員が苦しい思いをするのか?
そうじゃないんですよ。
でもそれを語るために、前提知識が必要になるんですね。
結論、どうなるかはわからないです。
始まってみないと全くわからないけれども、「こういう前提だったら、こうだよね」「こういう前提だったら、これやっておいた方が良いよね」みたいなものはあります。
それを明日話していきたいな~と思います。

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