「金融教育」というキーワードがマイナスをもたらす可能性

今日のリベラルアーツ大学
経済的成功を邪魔する「思い込み」について解説
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このページは、Voicy「大河内薫マネリテ戦略室ラジオ」2022/8/18分を、文字起こし・編集したものです。

「金融教育」というキーワードがマイナスをもたらす可能性 | 大河内 薫「大河内薫"お金の学び"ラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム
音声放送チャンネル「大河内 薫」の「「金融教育」というキーワードがマイナスをもたらす可能性(2022年8月19日放送)」。Voicy - 音声プラットフォーム

今日は、「金融教育を履き違えちゃダメ」という話です。
日経新聞の記事曰く、金融リテラシーの定義が「金融の知識・判断力」。
それが最も高い都道府県は、島根県と奈良県であると。
2022年、金融広報中央委員会の金融リテラシー調査で両県が正答率トップだったと。
記事の分析によれば、「勤勉な県民性・投資熱が、背景にありそうだ」と。
個人的には、勤勉なイメージは別にどの都道府県にもないんですけど……

金融リテラシー調査ですから、いろいろな回答項目があって「金融トラブルの経験」も書いてあったりします。
金融トラブル経験者の全国平均が7.3%だったのに対し、島根県は4.5%と低水準だった。
こういうところも、島根県や奈良県が金融リテラシー調査で第1位になったことに影響しています。

金融リテラシー、島根・奈良が1位 堅実な家計管理映す - 日本経済新聞
金融の知識や判断力を意味する「金融リテラシー」が最も高い都道府県は島根県と奈良県――。金融広報中央委員会の2022年の金融リテラシー調査で両県が正答率トップになったことがわかった。勤勉な県民性や投資熱が背景にあるようだ。一方、金融教育を求める人の割合は全国的に上昇し、平均で過去最高となった。今年は高校の授業で「金融教育...

「金融教育」がバズワードになっている2022年。
たぶんこれは、文部科学省発だと思うんですよね。
というのも、高校で「金融教育」が入ったわけですよね。
家庭科の一部に、資産形成という形で入ったわけですよ。
でも「金融教育」という言葉は、本当に微妙だな~と思うんです。
そもそも「金融教育」の定義付けが曖昧で、僕を含めて一般的に「金融教育」と言ったら何となく「投資教育」みたいなものをイメージしちゃうじゃないですか。
なので、街角インタビューやインターネット回答の金融リテラシー調査で、「あなたは金融教育を受けたことがありますか?」「金融の知識・素養がありますか?」と訊くと、「YES」と答えちゃう人が多いと思うんですよ。
だって突然「金融教育、受けたことがありますか?」と訊くわけじゃなくて、総合的なものの中で取り扱われるわけだから。

他にも「金融商品を購入したことがありますか?」という話も出てくるわけで、日本人は「金融=投資」的な部分が、やっぱり多いと思うんですよね。
そうすると金融教育も、イメージとして資産形成・投資に寄っていってしまう。
家庭科で教えるものが何であれ、そういうイメージになっていってしまうわけですよね。
実際「金融教育を受けたことがある」に対して、「YES」と答える人が60%以上もいた。
もし日本人の60%以上が「金融教育を受けたことがあります」と言うような状態だったら、日本人がこんなにお金に弱いわけがないんですよね。
60%以上がお金について、何らか学んでいるわけじゃないですか。
そしてこんなにも、「お金の話を外でしちゃダメ」みたいな悪しき文化が蔓延しているわけがないんですよね。
「60%以上、金融教育を受けたことがある」の曖昧さ。
金融教育の定義の曖昧さを炙り出した結果になるんじゃないかな~と思います。
ここから僕が言いたいことは、「金融教育」という言葉を止めませんか?

「金融教育」という言葉のまま走っても良いんだけど、その定義を国側がもっと発信していかないとダメですよ。
「金融教育を受ければ良いんだ」「金融教育さえ受ければ、お金に困らない生活があるんだ・お金に強くなれるんだ」と皆が思って「金融教育=投資」だとしたら、全然ダメですからね。

投資をする前にやらなきゃいけないものって、たくさんあるじゃないですか。
当然、僕のVoicyリスナーさんだったら知っている。
「お金って、そもそも何ですか?」とか「お金を話すことは、イコール命をつなぐことなんですよ」とか、そういう話ですよ。
お金の話をする前に、する話ね。
これは”お金の教育”としか僕は言えないですけど、それこそが重要なんですよね。
それを知らずして投資をしても、ただのギャンブルになりかねない。
そんな可能性も出てくるわけですよ。

日本語には、仮名(ひらがな・カタカナ)や漢字とかがあるわけで。
それをまず学ばないと、国語を学べないのと一緒。
まずはアルファベットを学ばないと、英語を学ぶこともできない。
お金の教育も、それと一緒。
百歩譲って、「金融教育」でも良いですよ。
「金融教育」を学ぶ前にやらなきゃいけないもの、日本語で言うひらがな・英語で言うアルファベットが存在するんですよね。
これをもっと明確化して、それを学んだことがある日本人を増やす。
「お金って、そもそも何ですか?」とか、「お金=命をつなぐ」とか。
当然お金は、世の中で・皆の前で・家族間で話すべきことですよね?
これを、当たり前のように・息をするようにロジカルに語れる日本人を増やしたいな~と思って僕は活動しているわけですが、こんな感じだと「何か、こんがらがっちゃっているな~」というのがシンプルな感想なわけですね。

じゃあ、どうするか?
地道な活動しか、ないわけですよね。
「お金の教育」という言葉と、「金融教育」という言葉。
僕の中では、2つあるんですよ。
でも、世の中は「金融教育」という言葉で走り出していて、これを止めることはできないわけですね。
なぜなら日本は高校で資産形成の授業があって、それを「金融教育」と言ってバズワード化してしまったからです。
これは、完全に悪手だったな~と思いました。
「何とか止める手立ては、なかったかな~」と今振り返って思うんですけど、止める手立てがありませんでしたね。

これは、実はメチャクチャ深刻な問題なんじゃないかと思っていて。
「金融教育」というバズワードで、「それは、もう学んだ」と思っている日本人が現状多いわけじゃないですか。
「それで解決しちゃった」みたいな雰囲気が出ると、本当に危ないな~と思います。
フタを開けてみれば、まだ日本人はお金に強くなっていないわけで。
世界的に見ても、お金に弱いわけですよ。
でも「学んだ」と、大衆は思ってしまう。
これはマズいな~と。
だったらそんな言葉を生み出さずに、「全然学んでいません」「お金に弱いままです」「お金のことなんか話すものじゃありません」という日本の方がまだ良かったんじゃないかな~と思います。
とはいえ、もう巻き戻すことはできないですからね。
現状をどう変えていくかが、更なる難題になっていくのかな~と。

「金融教育」という言葉ですね。
この言葉で安易に「何となくできる」みたいな世界にならないように、食い止める意識も必要なのかな~と思いました。

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